2月のお題で綴った、大人の童話です。 雪月(2月)の最後の夜を・・・お楽しみくださいませ。
行きつけの バーで今宵は ホットラム 隣り合う 男(ひと)の手に浮く 桃の痣 忘れ得ぬ 夫(つま)の印と 雪の声 喪も明けぬ うちに水蜜 晒す吾 広き胸 わが桃潰し 縋り逝き
添えるなら 百の言葉も 馬耳東風 裄測る 貴方の背中に そっと添い 一針に 百世を願いし 絹紬 粋だねと 雪輪の襦袢 きしむ帯 嬉しいと 手を引き連れし 桃の縁 縁側で 腿にうれしき 重たさよ 桃のよう そっと探るは 耳掃除
夜明け前 百度見やる 彼の顔 逝かないで わたしを置いて 雪の朝 逝きはせぬ 信じて添いし 愛し女(ひと) 涙すら 久しくなりぬ 雪の頬 喪の明けた 桃の節句に 誓う明日
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